はじめに
民泊事業を購入する際、成功に導くためにはいくつかの重要なポイントを押さえておくことが必要です。
この記事では、財務状況や物件の状態、許認可、運営ノウハウなど、事業購入時に注意すべき項目をわかりやすくまとめています。
さらに、お得に購入するためのコツもご紹介しています。
これらのポイントを理解し、賢く民泊事業を購入するための準備を始めましょう。
1.財務状況の確認
民泊事業を購入する際、最初に確認すべきなのはその財務状況です。
損益計算書やキャッシュフロー計算書を売り主に見せてもらい、安定した収益が確保されているかを確認しましょう。
また、賃貸契約や設備投資などに伴う負債がどの程度あるかも確認が必要です。
特に固定費や変動費の割合が高い場合、運営コストが大きくなるため、利益を確保しにくくなるリスクがあります。
財務状況をしっかり分析することで、購入後の経営が安定するかを見極めましょう。
(参考記事:民泊事業の財務管理と税務対策)
2.物件の状態と立地
民泊事業を購入する際、物件そのものの状態と立地は事業の成功に直結します。
まずは、建物の老朽化や修繕が必要な箇所を確認し、追加の投資が必要かどうかを把握しましょう。
特に古い物件は、修繕コストが利益を圧迫する可能性があります。
次に、物件の立地条件も重要です。観光客に人気のエリアか、インフラが整っているかを確認しましょう。
アクセスの良さや周辺施設の充実度は、集客力に大きく影響します。
(参考記事:プロが教える!民泊物件の選び方と成功のコツ)
3.許認可の確認
2018年以降、民泊を始めるためには国に認めてもらわなくてはならなくなりました。
そしてそれには実は3種類の形があります。
旅館業
まず一番シンプルなのが旅館業の許可を申請するやり方です。
この許可が認められるとあなたの物件が旅館業法という法律で宿泊施設と認められるため当然年間365日営業することができます。
ただ、この旅館業の許可申請をするには色々とハードルがあるのであなたの物件がそもそも申請すら受け付けてもらえない可能性もあります。
住宅宿泊事業(民泊新法)
続いて世間では民泊新法と呼ばれている住宅宿泊事業の届出をするというやり方です。
これは旅館業の許可申請に比べるとハードルは低いのですが届出が受理された場合でも営業できるのは最大で年間180日までとなります。
特区民泊
最後に特区民泊です。
こちらは政府が国家戦略特区として指定した地域で認定を受ければ民泊を運営できるというやり方です。基本的には年間365日運営することができます。
対象エリアは以下になります。
・新潟県新潟市
・千葉県千葉市
・東京都大田区
・福岡県北九州市
・大阪府(堺市、東大阪市、高槻市、豊中市、枚方市、吹田市及び交野市を除く)
比較表
見やすいように3つの比較表も載せておきます。
旅館業 | 住宅宿泊事業 | 特区民泊 | |
営業日数上限 | なし | 180日 | なし |
宿泊日数制限 | なし | なし | 二泊三日以上 |
建物用途 | ホテル・旅館 | 居宅、長屋、共同住宅 又は寄宿舎 | 居宅、長屋、共同住宅 |
住居専用地域での営業 | ✕ | ◯ | ✕ |
(参考記事:初心者必見!民泊ビジネスをゼロから始めるための徹底マニュアル)
特に要注意なのが住宅宿泊事業(民泊新法)
①家主居住型で住宅宿泊事業の届出をしている
住宅宿泊事業(民泊新法)には自分が住んでいる家に宿泊者を受け入れる家主居住型と、自分は住んでいない家に宿泊者を受け入れる家主不在型の2つがあります。
単刀直入に言うと家主居住型の方が家主不在型よりも営業開始までのハードルは格段に低いです。
そのため本当は自分が住んでいないにも関わらず家主居住型で営業してしまっている施設が巷には一定数あります。
住宅宿泊事業は譲渡後に届出のやり直しが必要になるため、そんな施設をもしあなたが買ってしまうと家主居住型での営業しか認められません。
その物件で家主不在型で営業をするためには新たに設備工事をする必要があり、場合によっては家主不在型での営業は実質不可能なこともあります。
②家主不在型で届出をしているが消防設備が入っていない
次に家主不在型で届出をしているが消防設備が入っていないケースです。
現在の住宅宿泊事業法(民泊新法)は消防署の検査を受けなくても届出が受理されてしまう仕組みになっています。
自治体によっては消防署の検査を受けないと届出が受理されないところもありますが、今のところほとんどの自治体が受理をしてしまっています。
それが理由で本来設置されていなければいけない消防設備が設置されていない施設が多くあり、それを買ってしまうとこちらも新たに設備工事をする必要があります。
こちらも実質営業不可能な物件である可能性が高いです。
③消防署の検査を受けていない
そして3つ目が消防署の検査を受けていないケースです。
これはしっかりと消防設備を設置して家主不在型で営業をしているけど消防署の検査を受けていない施設のことです。
これくらいなら大丈夫かと思うかもしれませんが消防署の検査を受けていないということは法的には消防設備を設置していないのと一緒です。
購入後に消防署との協議や検査など色々と面倒なことが出てくるのでこちらも要注意です。
4.運営ノウハウの引継ぎ
民泊事業の購入後、スムーズに運営を継続するためには、運営ノウハウの引継ぎが極めて重要です。
例えば、予約システムの使用方法や清掃業者との契約、地元での運営方法など、売主からの詳細な説明を受けることが成功のカギとなります。
特にお客さんからの良いレビュー(口コミ)を集めることは、民泊事業の利益を維持するために欠かせない要素です。
どのようにして良いレビューを獲得しているか、内容をしっかり確認しておきましょう。
(参考記事:【買いたい人必見】民泊事業を買収する際の5つのチェックポイント)
5.市場環境の変化に注意
民泊事業は、地域の観光需要や経済状況によって大きく影響を受けます。
特に世界経済の動向や為替レートの変動が、外国人観光客の旅行傾向に直結することが多く、これらの要因は民泊事業の収益に大きな影響を与える可能性があります。
例えば、為替が有利になれば外国人観光客が増加し、逆に不利になれば減少することも。
また、観光トレンドや地域経済の変化も考慮すべきです。
新しい観光スポットの開発やインフラ整備はエリアの魅力を高めますが、逆に観光需要が低下すれば集客が難しくなることもあります。
市場の将来性や経済状況を見極め、安定したエリアでの事業展開を検討することが成功への鍵です。
(参考記事:【2024年最新版】民泊市場の未来予想図)
番外編:競争の少ないエリアを狙う
民泊事業を成功させるための一つの戦略として、競争の少ないエリアを狙うことが挙げられます。
観光地として有名なエリアでは、多くの競合がひしめき合っており、価格競争に巻き込まれる可能性があります。
一方、観光客にはまだ知られていないエリアや、これから注目されそうな地域では競争が少なく、独自の強みを活かして事業を拡大しやすいでしょう。
特に、地域特有の文化や自然をアピールできる物件は、差別化がしやすくなります。
さらに、メインの観光地から車で1時間以内の場所であれば、十分に集客の可能性があるという話も聞いたことがあります。
少し離れた立地でもアクセスが悪くない場合、観光客が宿泊を検討するケースも多く、競争が少ない分、利益を伸ばしやすいと言えます。
まとめ
民泊事業を購入する際には、財務状況や物件の状態、許認可の確認など、慎重に確認すべきポイントが多くあります。
さらに、運営ノウハウの引継ぎや市場環境の変化にも目を向け、長期的に安定した事業運営が可能かどうかを見極めることが大切です。
また競争が激しいエリアを避け、まだ開拓されていないエリアに目を向けることも戦略のひとつです。
賢く選んで、民泊事業の成功を手に入れましょう!