はじめに
「民泊新法よりも旅館業の方が売上伸ばせて高い値段で事業譲渡できそうだな」
これを読んでいるアナタはこのように考えているのではないでしょうか?
旅館業への切り替え手続きは面倒そうだけど、売上を伸ばしてより高い値段で事業譲渡するためには必要不可欠ですよね。
というわけで、今回は旅館業への切り替え手続きと失敗しないためのポイント8選を紹介します。
より高く売りたい人は、必ずチェックしておいてください。
ポイント1「まず最初に確認マストな”用途地域”」
旅館業は、旅館業法によって宿泊施設として認められているため、年間365日営業が可能ですが、一方で民泊新法よりも条件が厳しいことが特徴です。
建物には法律で種類が決められており、その中で旅館業を営む建物は「ホテル、旅館」という種類になります。
これに対して、民泊新法では建物の用途は「居宅」です。
日本には都市計画法に基づいて、用途地域が定められており、それぞれの地域には建物の制限があります。
「ホテル・旅館」もこの例外ではなく、これによって旅館業を許可される地域とされない地域に分けられています。
そのため、旅館業を始める前には用途地域の確認が必要不可欠です。
下記では、旅館業許可のOKな地域とNGな地域をまとめました。
NGな地域は残念ながら旅館業に切り替えることはできないのでアナタの民泊施設がどこに当てはまるのかしっかり確認しましょう。
旅館業がOKな地域とNGな地域
旅館業許可OK | 旅館業許可NG |
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ポイント2「担当の保健所はどこ?」
2つ目のポイントは担当の保健所を確認することです。
「え?!民泊新法も旅館業も窓口同じじゃないの?」
例えば東京都武蔵野市では民泊新法の場合、手続きは東京都庁で行いますが、一方で旅館業を営む場合には多摩府中保健所が窓口になります。
たまにこのような自治体があるので無駄足にならないよう事前にしっかり確認しておきましょう。
また、民泊新法と旅館業では必要な提出書類も変わってきます。
下記に主な必要書類を書きますがこちらも自治体によって変わるので申請する前にしっかりと確認しておきましょう。
旅館業許可申請に必要な主な書類
- 登記事項証明書
- 状況見取り図
- 建物配置図、各階平面図、正面図および側面図
- 客室面積の算定図
- 照明設備系統図、給排水系統図、機械換気設備系統図
- 使用承諾書
- 水質検査成績書
- 土地・建物登記簿謄本
ポイント3「上乗せ規制は無い?」
続いて”自治体の上乗せ規制”です。
基本的には国の法律を守って申請をすれば旅館業を始めることは出来るのですが、たまにイジワルな自治体があり、さらに上乗せで規制をしているんです。
例えば東京都新宿区で旅館業で運営をする場合、”建物の他の利用者と通路が重なってはいけない”という規制があります。
この規制はマンションや雑居ビルなどで旅館業を始めるのをとても難しくするためのものです。
図を作ったので参考にしてみてください。
また旅館業の場合は原則としてフロントが必要になりますが、タブレット端末などのICT設備を設置すれば多くの自治体で省略することができます。
ただ、そのためにはチェックインや鍵渡し、名簿の記入などに漏れがないよう、常にカメラで監視し、緊急時に駆けつけられる体制を整えておく必要があります。
駆けつけ要件は自治体によって違い、徒歩10分以内と厳しい自治体もあれば、移動手段問わず10分以内ならOKとする自治体もあります。
ちなみに東京都台東区は旅館業の場合必ず民泊施設内にスタッフが常駐しなければならないという上乗せ規制があります。
その他の地域でも上乗せの条例があるところがあるので、物件のある地域にはないかしっかり物件のある地域の自治体に確認しておくことをオススメします。
ポイント4「消防設備はちゃんと入ってる?」
基本的に民泊新法でも旅館業でも消防法での扱いは変わらないため、今アナタが運営している部屋には旅館業の条件を満たした消防設備が入っているはずです。
ただ、万が一アナタの民泊が”家主同居型”で運営していたり家主不在型でも消防設備が入っていないのに届出が受理されてしまっている場合は旅館業の許可はおりません。
念のため消防設備がしっかり入っているか確認しておきましょう。
また、念のため担当の消防署にも連絡して追加する設備がないかも確認しておきましょう。
ポイント5「保健所と消防署以外に手続きするところは無い?」
「保健所も消防署もクリアしたしもう大丈夫でしょ!」
このように思って安心しているかもしれませんがまだ油断禁物です。
自治体によっては他にも手続きしなければならない窓口があるからです。
例えば東京都武蔵野市は市役所の”安全対策課”にも手続きをする必要があります。
この手続きでは近隣に向けての説明会も開催しなければならず、けっこうな手間がかかります。
参考サイト:武蔵野市の旅館業ルール
アナタの民泊施設のある地域の自治体でそのような手続きが必要ないかも事前にちゃんと確認しておきましょう。
ここを見落としていると旅館業をスタートするまでに予想以上に時間がかかってしまうかもしれません。
ポイント6「その建物、旅館業は全部で何㎡?」
そして特にマンションなどの場合要注意なのが”他の部屋も合わせて旅館業が何㎡あるか”です。
旅館業の許可をとって民泊をするには用途を「旅館・ホテル」に変えなければなりません。
建築基準法ではこれを”建物の用途変更”と呼びます。
例えば「居宅・共同住宅」として建てられた建物で旅館業をとって民泊として使用したい場合はこの手続きが必要になり、その手続きを「建築確認申請」といいます。
この「建築確認申請」がけっこう厄介でこれをする場合は建築士事務所に依頼しなければならず、けっこうな費用が必要になります。
しかもこれをするには建物を新築した時に国が指定した検査機関がしっかりと法律を守って建てられているか検査したことを証明する「検査済証」が必要になります。
古い建物だとこの「検査済証」が保管されてないケースが多く用途変更を諦めなければならないケースがとても多いのです。
床面積 | 建築確認申請 |
200㎡以下 | 不要 |
201㎡以上 | 必要 |
そしてここからはあくまで可能性の話なのですが、マンションなどの場合アナタの民泊部屋以外にも旅館業を営業している部屋があって、そこも合わせて200㎡を超えてしまう場合、ここに引っ掛かってしまう可能性があります。
ただ、これについては法律で明確になっていないのでアナタの民泊施設のある自治体の窓口(武蔵野市の場合は武蔵野市役所の建築指導課)に事前に確認しておきましょう。
ポイント7「民泊新法の廃業届を忘れずに!」
ここまで書いたポイントをクリアし、晴れて旅館業の許可が取得できた後にもやることがあります。
それが民泊新法の廃業届です。
この廃業届は、民泊新法により定められた手続きの一つであり、法律に則って行わなければなりません。
こちらも忘れずに行うようにしましょう。
ポイント8「予約サイトの変更登録も忘れずに!」
そしてアナタが登録している予約サイトの変更登録も忘れないようにしましょう。
Airbnbの場合はリスティングの「管理」の項目の「規制」のところから行うようです。
ここでアナタが取得した旅館業の許可書をアップロードする必要があるのでしっかり準備しておきましょう。
参考ページ:日本のリスティング登録情報の修正及び、変更方法に関して
まとめ
今回の記事では、民泊新法から旅館業に切り替えるための手続きや注意点についてご紹介しました。
今回紹介したポイントをしっかり押さえ、法律に沿った手続きを行い180日規制を受けない旅館業で民泊の売上を伸ばし、より高い値段での事業譲渡を目指しましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました!